「ヤエー」のやり方とマナー

ライダーの挨拶

すれ違いざまに手を振る不思議な習慣の正体

ツーリングに出かけて郊外の道を走っていると、対向車線からやってきた見知らぬライダーが、こちらに向かって手を振ったりピースサインを出したりしてくることがあります。初心者の方は驚くかもしれませんが、これは決して知り合いと間違えているわけではありません。これはライダー同士が道中の安全を祈り合い、旅の楽しさを共有するための挨拶であり、ネットスラング由来の言葉でヤエーと呼ばれています。

もともとはピースサインを送り合う文化が、とある掲示板での書き間違いからこの名称で定着したものと言われています。孤独になりがちなソロツーリングでも、すれ違う瞬間に挨拶を交わすだけで、自分はひとりではないという連帯感や、同じ趣味を持つ仲間がいるという温かい気持ちになれるのが最大の魅力です。義務やルールではありませんが、もし余裕があれば振り返してみると、ツーリングがより一層思い出深いものになるでしょう。

安全第一が鉄則!正しいヤエーのやり方とタイミング

実際にヤエーをやってみたいと思ったときに気をつけるべきなのは、あくまで安全運転が最優先であるということです。基本的には、スロットル操作のない左手を使います。対向車が来たら、左手を少し上げて手のひらを見せたり、ピースサインを作ったり、軽く会釈をしたりするのが一般的なスタイルです。大きく手を振る必要はなく、胸のあたりで小さく挙げるだけでも相手には十分に伝わります。

絶対に避けるべきなのは、カーブの途中や交差点、発進停止の直後など、運転操作に集中しなければならない場面で行うことです。クラッチ操作が必要な場面で無理に手を離すと、バイクの挙動が乱れて転倒事故につながる恐れがあります。また、交通量の多い道路で頻繁に行うと、前方不注意になりがちです。見通しの良い直線道路や、ゆったりと流れている郊外の道など、心にも運転にも十分な余裕があるタイミングでのみ行うようにしてください。もし手が離せない状況であれば、軽く頭を下げるだけの会釈でも立派な挨拶になります。

返ってこなくても気にしない!心の余裕を持とう

ヤエーはすべてのライダーが行うわけではなく、楽しみ方の一つに過ぎません。こちらが元気に手を振っても、相手から反応がないことは珍しくありませんが、そこでがっかりしたり腹を立てたりするのは野暮というものです。相手が挨拶を返さない理由はさまざまです。運転に集中していて気づかなかったのかもしれませんし、クラッチ操作中で手が離せなかったのかもしれません。あるいは、シャyな性格でどう反応していいかわからなかったということもあります。

この挨拶は、見返りを求めずに行う一方的なエール交換のようなものです。返事が返ってきたらラッキー、相手が無事に旅を続けられればそれでよし、くらいの軽い気持ちで楽しむのが長続きのコツです。無理に相手の反応を伺うのではなく、自分が楽しむために行うというスタンスを忘れずに、安全運転の範囲内でライダー同士のコミュニケーションを楽しんでみてください。一期一会のすれ違いが、素晴らしい旅の1ページになるはずです。